Redberry

おとといの土曜日にレンタカーを借りることになっていた。
引越しして住むのはまだだけど、荷物運びの日だった。

数少ない私たちの荷物は、中くらいの引き出しタンス4個とオープン棚1個と勉強机だけ。今の私たちの全財産。
4年前に弟『あきら』のマンションに住んでいて、そこから実家に引っ越す際に全て置いてきて、オープン棚以外は全て贈呈した。

荷物少ないから、楽勝楽勝！！とたかをくくっていた。けど、甘かった。
さすがに前日準備が何もなしではダメだということに当日気が付いた。
まず、朝レンタカーを借りる。旦那さんは、実家に勉強机を取りに行って帰ってきてからは1日マンションで待機、荷物当番。
私はレンタカーで実家とマンションと『あきら』宅を往復、荷物を運ぶ当番。
普通、逆じゃない？！
でも、洗濯機受け取り時には男性一人必須という条件だったので、やむなく私が運び屋になった。

『あきら』宅について、「棚取りに来たよ～」と上がったはいいものの、六角レンチがないとバラせない事にその時気づく。げげげ・・。「うち、工具ないよ」だって。
バラさずに無理やり積み込もうと、外にあるバンの前まで持って行って、2人で突っ込もうとしたけど、「あれ？姉ちゃん、、どうやっても入んないよ？」ということになり、
バカな兄弟はそのままマンション公共駐車場前に棚一つ野ざらしにして、実家に六角レンチを取りにその場を去った。

実家に乗りつけて、六角を入手。あきらがいるうちに力仕事を済ませなければ。
「さて・・・どうしよう」と考え込んでしまった。当たり前だけど、タンスなんて引き出しを出さなきゃ運べない重さだった。しかも2階にあるし。
中身をダンボールへせっせと詰め、「うわっ、、置く場所がないじゃん」と他の掃除も始まり、引き出し全てを取り出すまでに1時間弱かかってしまった。『あきら』と一緒にタンスを2階から降ろして、他にも車に積めるだけ積んで出発。「積載量90パーは行ってるよね。この積み方優秀じゃない？」とあきらは自己満足に浸る。そして、旦那さんの待つマンションへ到着。

旦那さんはカーテンを取り付けていた。「あれ？そんなに重いの持ってきてくれたの？ありがとう！昼でも食べてきなよ」と言われて、はあ、もうそんな時間か・・・と思ったのが15時。食事をしてあきらを送り届けて、かわいそうな置き去りのラックをバラして積んだ。

その後、各家を何往復かして、最後に荷物を運び終わったのが21時。レンタカーを返してきたんだけど、
「あれ？？六角レンチが無いよ！」
レンタカーの中に忘れてきた！！
さっき『あきら』の家から運んできたラックが、今度は組み立てが出来なくなってしまった！
「いいよ、いいよ。いつか六角買おうよ」「うん、そうする・・」
たいした棚でもないのに手間かけやがって！と、私は悔しくて、棚を憎んでいいやら六角を憎んでいいやら、とにかく自分以外のどれもが悪者だった。
本当は自分が間抜けなだけで、他の誰も悪くなかったんだけどね。

もう、何をする気力も無く、部屋がしばらく汚くてもどうでも良かった。
寝室をフッと除くとベッドがバラバラ。さっきまで、普通のベッドだったのに・・・。
旦那さんがベッドの向きを変えようとして、バラしてくれていたのだった。
すごくありがたいんだけど、さっきより部屋が汚く散らかって見えるのは気のせいじゃないよな・・。今やんなくていいよ。。さっきより自体が後展している錯覚に陥るから。疲れが倍増しそうだよ。

と、その時、
「あれ？？これ柱が1本足りないよ！」
「えっ？」
見たら、オープンラックの棚支えパイプが1本無い。それが無いと棚にならない。また、さっきの棚だよ。
あっっ！それもレンタカーの中かも・・。「まずいよ！取りに行かなきゃ。多摩ナンバーだったから、明日多摩に帰っちゃうよ、あの車」と言われ、
あわてて電話したらパイプはあるみたいだった。取りに行ったら、六角とパイプとテレビアンテナケーブルも一緒に渡された。
「うはは、こんなものも忘れてたんだ。これでテレビも付くな」私は疲れていて、口が半開きの半苦笑い状態。帰りは開かずの踏み切りを超える忍耐力が切れていて、一方通行道路をちょっと逆走したりした。
マンションに着いたのが23時前。

旦那さんはベッドを組み立てていた。
まだ時間がかかりそうだったので、私は「例の」棚を組み立てた。

すべての作業が終わって家についたのは24時過ぎ。いつ寝たのか、気づいたら同じカッコで朝を迎えてしまった。